目や耳といった、自分の感覚器が使えなくなってしまうという事態を考えたことはあるだろうか? 普通に生活していると、なんとなく明日もまた、今日と同じような日になるような気がする。だから、自分の感覚器が今日使えているなら、明日も同じように使えると考えてしまう。
しかし、事故に巻き込まれる可能性は誰の身にもあるし、なによりも誰だって年は取る。老化による感覚器の衰えは平等だ。そんな時、使えなくなった感覚器の代わりに別の感覚器を使えるようにする技術が「感覚置換」だ。たとえば、今回紹介する『クトゥルフ シールド』は、「舌」を視覚や聴覚の代わりにできるという「感覚置換」ツールだ。
ある感覚器の情報を別の感覚器へと伝える「感覚置換」とは?
もう少し詳しく「感覚置換」について説明しておこう。「感覚置換」とは、ある感覚器の代わりに別の感覚器を使うのだが、耳の代わりに目で音が聴こえるようになるというものではない。耳で受け取っている情報を別の感覚器、たとえば目で受け取れるよう変換するのが「感覚置換」技術だ。
舌で情報を知覚・操作する『クトゥルフ シールド』
『クトゥルフ シールド』は、18個の電極グリッドを使って、舌の触覚に対して信号を伝える。電波のパターンが変わることで舌が感じる触感が変化し、信号を読み取るという仕組みだ。また、タッチ感覚を使って舌先で形状や単純な絵を描いたり、コンピュータへのキーストロークを送信したりといった操作も可能。なお、『クトゥルフ シールド』は『Arduino(アルドゥイーノ) R3』に接続することで使用できる。
『Arduino』を使って個人でも開発可能
『Arduino』とは、小型のマイコン基板。特徴は、「シールド」と呼ばれる追加用の基板を接続し、プログラミングを行うことで機能を拡張できることだ。たとえば、「Wi-Fiシールド」を接続してプログラミングすればWi-Fi通信ができるようになるし、「赤外線リモコン・家電操作シールド」を接続してプログラミングすれば赤外線を使った家電操作が可能になる。
プログラミングは、『Arduino』をPCに接続することで可能。『Arduino』を使えば、電子機器開発のハードルを大きく下げることができ、個人でも十分手が届くものになる。つまり、『クトゥルフ シールド』を使った電子機器開発も、個人で可能だ。舌を使った新たな機器に興味があるなら、手を出す価値はあるだろう。
製品情報
- 『クトゥルフ シールド』(舌インタフェース)