インディゲームの熱狂。作家性を帯びた作品が次のゲーム文化を作る

インディゲームの熱狂。作家性を帯びた作品が次のゲーム文化を作る

2020/05/19
テキスト
田中一広
編集:矢澤拓(CINRA.NET編集部)

ゲーム開発のハードルを下げた、ゲームエンジンの解放

ところで、なぜ今になってインディゲームが盛り上がってきたのだろうか? この問いの答えになるのが、ゲームエンジンと呼ばれる存在だ。ゲームエンジンは、ひらたく言えばゲームを開発するためのツール。どんなゲームを開発する場合でも、キャラクターを動かすとか、敵に触れたかどうか判定するとか、絶対に必要となる部分がある。ゲームエンジンを使えば、こうした部分はゲームエンジンが担ってくれるので、開発する必要がない。

また、通常はPC、Mac、PS4、Switch、iPhone、Android……と、各ハード毎にゲームを開発する必要があるのだが、ゲームエンジンを使えば、ゲームの根幹部分は共通開発可能だ。もちろん、各ハードによってスペックに差があるのでハード毎の調整は必要。しかしそれでも、フルスクラッチで開発するより圧倒的低コストで各ハードへの展開が実現できる。このように、ゲーム開発の土台となる部分をゲームエンジンが担ってくれるため、ゲーム開発のハードルが大きく下がっている。

しかも、ゲームエンジンの利用料金は、インディゲーム開発者にとっては実質無料といえる価格だ。利用者にインディゲーム開発者が多い『Unity』は、年商1,000万円以下の開発者は無料で使用可能。

Unity Japan公式YouTubeチャンネルより

美麗な3Dビジュアルに定評のある『Unreal Engine4』は、リリースしたゲームの4半期ごとの売り上げが3,000ドルを超えた場合に、3,000ドルを超える部分に5%のロイヤリティが発生する。

『Unreal Engine4』日本語チュートリアル

インディゲームの「多様性」がゲーム業界に新たな命を吹き込む

ビジネスゲームに何か問題があるというわけではない。オンライン対戦要素を持ったゲームも、キャラクター収集型のRPGも、いずれも楽しく熱狂的なファンに支えられている。しかし、リリースされるゲームの内容が同じような傾向ばかりという状況には注意が必要だ。なぜならそれは、業界が成熟してしまった証拠だからだ。

ゲームに限らないが、業界が成熟すると同じような傾向の作品ばかりがリリースされるようになり、やがて飽きられ、衰退を迎える。業界がさらに成長するためには、様々な作品がリリースされる、「多様性」が必要だ。

もしこの記事を読んでいるあなたが、ファミコンブームやプレステブーム、インターネットブーム、iPhoneブームを経験したことがあるなら、その当時を思い出してほしい。見たこともないゲームが、アプリが、WEBサイトが、次々に登場してドキドキわくわくしたのではないだろうか?

インディゲームは、今それを担いつつあるように見える。もしインディゲームに触れたことがないなら、その熱狂に触れてみてほしい。それがこの先、ゲーム業界をより面白くしていくことに繋がるだろう。

作品情報

『UNDERTALE』
『VA-11 Hall-A』
『198X』

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