☆Taku Takahashi×Zeebra 苦境の中、新たに生まれる文化とは?

☆Taku Takahashi×Zeebra 苦境の中、新たに生まれる文化とは?

2020/08/11
インタビュー・テキスト
三宅正一、笹谷淳介
撮影:玉村敬太 編集:今井大介、久野剛士(CINRA.NET編集部)

与えられたものを100%使うことがすべてじゃなくて、200%使って初めて出てくるものもあると思う。(Zeebra)

―クラブカルチャーは風営法の問題しかり、ずっと逆風に晒されてきていたのにここにきてコロナまで、という苦難と対峙せざるを得ない状況です。そんな中で「バーチャル渋谷」という新たなプラットフォームが誕生しました。個人的には最新のプラットフォームが最も生きる場所が渋谷なのかなと思うんですが、おふたりはこういうバーチャル空間やオンラインプラットフォームがどんどん拡張されていく中でプロデュースしてみたいことや提示してみたいことはありますか?

Zeebra:「バーチャル渋谷」に関してはすべてバーチャル上にあればいいのになって思っていて。例えば、「バーチャル渋谷」の中を歩いて、渋谷PARCOで買い物をすることができたりね。いちいち、バーチャル上に売り場を作るのが面倒ならウェブストアへ飛ぶリンクを貼りつけるだけでもいいと思うんですよ。あわよくば、ブラウザインブラウザみたいな感じがいいと思うけど、本当に街の代わりになったらすごく意味があるなって。VISIONに入ったらいまやっているパーティーが見られたりできたらいいなって思う。

―自分のアバターで出かけるみたいな?

Zeebra:そうそう! 俺はアメーバピグとか超やってたし、当時(笑)。ヒップホップのやつらも結構やってる人が多くて、フラフラ歩いていると誰かしらいたんだよね。一般の人から「こんにちは、初めまして」とか言われたりして。そういうものを我々は楽しんでいたから。

そもそもバーチャルの世界に慣れているじゃないですか。ガキのころゲームやりまくっているんだから。『龍が如く』で歌舞伎町を神室町にしているのと変わらない訳でね。

☆Taku:街をすごくリアルに再現していますもんね。

Zeebra:当時『龍が如く』で2曲くらい曲を作らせてもらったから内側のことも知ってるんですけど、当たり前のようにスポンサーを取るんですよね。そうすることで、経済的に発展するわけじゃないですか。だから「バーチャル渋谷」もそういうことをどんどんやればいいと思うな。

Zeebra

―新しいテクノロジーを生かす部分に関しては、m-floというグループはすごく相性がいいと思うんですが、Takuさん自身、これから考えていることはありますか?

☆Taku:考えていることは、エンターテイナー、アーティスト、クリエイター、それをバックアップする人たち、そして箱。そういった自分のライフワークをいかにしてみんな協力してやっていけるかっていうのは常に頭の中にあって。

同時に自分は表現者としてどういった形でみんなを楽しい気分にできるかって考えることが必要で。びっくりさせたいし感動させたい。そして、それをどういう形で表現できるか……それは配信だったりVRであったり方法はいろんなものがあると思うんですけど、そういったものを自分自身も楽しみながら、クリエイター側が生きていける状況を作っていくことを考えていますね。

☆Taku Takahashi

―チームのミーティングなどでも5Gを含めてこれからこういうことができるならやってみたいなという話も出たりはしますか?

☆Taku:5Gの話は出るんですけど、正直まだ実際使えるまで時間がかかっちゃうじゃないですか。だから、5Gがいまあったらねっていう話はよく出ますけどね(笑)。

ただ同時に考えなきゃいけないことは社会の変化だと思っていて、いまはコロナがまだ終息していないから配信やバーチャルの需要が高まっているけど、コロナが全く心配ない状況になれば、配信のニーズって少なからず減少すると思うんです。その反動の部分もしっかりと考えないといけないと思う。

これからの時代はリアルとバーチャルの両方を楽しんでいくものだと思うから、手法はなんであれ、人を感動させるためにはどうするのか、感動を体感してもらうにはどうするのかを常に視野に入れていくことが大事かなと考えています。

―媒体もテクノロジーもリアルもすべて使いようというか、そのときどきで何が求められて、何がマッチしているのか、選択肢が増えたってことですね。

Zeebra:テクノロジーの使い方も、それこそヒップホップの連中とかクラブミュージックの連中はだいたいそうだと思うけど、「それをそんな使い方するんですか?!」っていう機材の使い方をみんなが考えて、「低音を大きくするならこれをこうやってやればうまくいく」とか、なんか訳わからない無茶苦茶なチャレンジで形にしてきているわけですよね。だから与えられたものを100%使うことがすべてじゃなくて、200%使って初めて出てくるものもあると思う。

Zeebra

―ターンテーブル2つ準備して、ミキサーで繋げてっていうところからそうですもんね。

Zeebra:そうそう(笑)。だって「レコード盤に触ったらダメでしょ! レコードはこうやって持つんです!」って最初は教えてもらったんだから(笑)。いまあるものをいかに使い倒せるか、新しいアイデアで変わったことができるかってとこだと思う。

―エラーが正解になる可能性もありますもんね。

Zeebra:そうかもしれない。MPCとかでビートとか作るとさ、たまにプログラムと音源が間違ったら、全然違うビートが流れる瞬間があるじゃない? それが超カッコいいみたいなさ。

☆Taku:「これアリじゃん!」みたいなね。

Zeebra:そうそうそう! 「あ、コレかっこいい! ちょっと待てよ、これとこれを抜かしてこれメインループにいけちゃうじゃん」とか。そういうこともあるんだよね。だからそういう何かから生まれる偶然とかもあると思う。

―おふたりが今日提言されたことを聞いていたら希望が湧いてきたというかすごくワクワクしてきました。

Zeebra:でもアレですよ。俺とかTakuは変わり者で、世の中にないものを作りたがり屋さんみたいなところがあると思うから。

☆Taku:傍から見たら、アーティストだけやっておけばいいのにねって感じですよね。

Zeebra:そうそう、アーティストだけやっていればいいのにっていう(笑)。だから、我々は他の人たちよりも楽観的なのかもしれないですよ。

でも、絶対できるでしょって思っていままでやってきているから、やれなかったことがやれるようになっているのもあるかもしれないね。

左から:Zeebra、☆Taku Takahashi

イベント情報

SUMMER BOMB 2020 ONLINE
SUMMER BOMB 2020 ONLINE

出演アーティスト:AKLO / BADHOP / JAGGLA / JP THE WAVY / J-REXXX / Leon Fanourakis / MIGHTY JAM ROCK(JUMBO MAATCH, TAKAFIN, BOXER KID)/ Novel Core / Shurkn Pap / SKY-HI / SOUL SCREAM / Tokyo Young Vision / ¥ellow Bucks / Zeebra / テークエム / 阿修羅MIC

配信日程:2020年8月22日(土)15:30~21:30予定
※見逃し視聴期間2020年8月22日(土)21:00~9月21日(月)23:59
放送局:ABEMA(PAY PER VIEW)
視聴料金:ABEMAコイン:2,500コイン(3,000円相当)
販売日時:2020年8月7日(金)12時~9月21日(月)23:59
※イベントを全てをご覧頂く為には9月21日の18時迄のご購入を推奨致します。

※本公演は、ABEMAにて独占生配信です。
※本公演は、有料となります。ABEMAプレミアムの方もコンテンツごとのご購入が必要になります。
※本公演は追っかけ再生の対象番組となります。

プロフィール

Zeebra(じぶら)

東京を代表するヒップホップ・アクティビスト。レーベル「GRAND MASTER」 代表、ネットラジオ局「WREP」局長。1997年、ソロとしてメジャーデビュー。日本語におけるラップを新たな次元へと引き上げ、ヒップホップ・シーンの拡大に貢献した立役者。常に上のレベルを追求し、その存在感と行動力は男女を問わず世代を跨ぎカリスマ的存在となっている。2014年、よりよいクラブとクラブカルチャーの創造を目標とする団体「クラブとクラブカルチャーを守る会」を発足。自らが初代会長として活動し、改正風営法の施行(2016年6月)に大きく貢献した。また、渋谷区から『渋谷区観光大使ナイトアンバサダー』に任命され、オランダ・アムステルダムで開催された世界28カ国参加の国際会議『NIGHT MAYOR SUMMIT 2016』に参加し登壇した。近年ではラップ・ブームの立役者として、MCバトル番組「フリースタイルダンジョン(テレビ朝日)」や「ハイスクールダンジョン(ABEMA)」のオーガナイズ、渋谷区の中学校にて「日本語ラップ講座」の特別講師を務め、2017年9月からは慶應義塾大学(三田キャンパス)にて現代芸術の講師として教鞭をとるなど、幅広く活動を展開している。

☆Taku Takahashi(たく たかはし)

DJ、プロデューサー。1998年にm-floを結成。ソロとしても国内外アーティストのプロデュースやRemix制作を行う。“Incoming... TAKU Remix”で「beatport」の『beatport MUSIC AWARDS 2011 TOP TRACKS』を日本人として初めて獲得し、その実力を証明した。アニメ『Panty&Stocking with Garterbelt』、ドラマ・映画『信長協奏曲』、ゲーム『ロード オブ ヴァーミリオン III』など様々な分野でサウンドトラックも監修。また、国内外でのDJ活動でクラブシーンでも絶大なる支持を集め、LOUDの“DJ50/50”ランキング国内の部で3年連続1位を獲得し、日本を牽引する存在としてTOP DJの仲間入りを果たした。自身が立ち上げた日本初のダンスミュージック専門インターネットラジオ&ポップカルチャーメディア「block.fm」は7周年に突入し、新たな音楽ムーブメントの起点となっている。2018年3月7日には、15年ぶりに初代メンバーLISAが復帰しリユニオンしたm-floのNEW EP『the tripod e.p.2』をリリース予定。

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『CUFtURE』(カフチャ)は、au 5Gや渋谷未来デザインなどが主導する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」とCINRA.NETが連携しながら、未来価値を生み出そうとする「テクノロジー」と「カルチャー」の横断的なチャレンジを紹介し、未来志向な人々の思想・哲学から新たなヒントを見つけていくメディアです。そしてそれらのヒントが、私たちの日々の暮らしや、街のあり方にどのような変化をもたらしていくのか、リサーチを続けていきます。