閉塞感を感じるいま、「渋谷渦渦」がチャレンジを提供する理由

閉塞感を感じるいま、「渋谷渦渦」がチャレンジを提供する理由

2020/10/23
渋谷渦渦
インタビュー・テキスト
村上広大
撮影:豊島望 編集:今井大介(CINRA.NET編集部)

自然と凝り固まっていた「渋谷とはこういう街」という既成概念を壊してほしい

―応募の際の必須条件に「渋谷でしかできないこと」と「異ジャンルとコラボした設計であること」のふたつが入っています。この意図について教えてください。

星野:私たちのなかで「渋谷とは?」という問いに対する答えがなんとなくできあがっているような気がしていて。

五十嵐:仕事で携わっていると自然と愛着が湧いてくるし、渋谷は盛り上がっているなと思う瞬間があるんですけど、それってすごく偏った見方だと思うことがあって。実際、新入社員に渋谷についてどういった印象を持っているのか話を聞いてみると「学生時代はあんまり足を運んでいないのでわからない」という回答が多いんです。

左から:星野ゆり、五十嵐友莉花

―仕事で関わっているから、無意識のうちにフィルターをかけて考えてしまうわけですね。

五十嵐:はい。私たちとしては、なんとなくうまくいっている気がしていたけれどまだまだだなって。だから、今まで取り組んできたことだけでは手が届かなかった人たちにも渋谷の魅力を知ってほしいんです。それで渋谷がいつ誰と行っても楽しい街になったらいいなって。そのための土台づくりに取り組みたいと思っています。

星野:私たちの既成概念を壊してくれるような企画や提案が生まれたら嬉しいですよね。ただ、その想像を口に出してしまうと自分たちのアイデアがベースになってしまうので、あんまり考えないようにしているんですけど(笑)。

五十嵐:ポップカルチャーってひと言で表すことができないと思うんですね。本当にいろんなジャンルがあるので。それらが合わさることで見えてくる新しい表現の楽しみ方があるんじゃないかなと考えています。

星野:ひとつ例を挙げるとすれば、ハローキティと歌舞伎がコラボした『KAWAII KABUKI』です。そういうふうに異色の組み合わせがこのプログラムを通じて生まれればいいなと思います。

五十嵐:特に最近はオンライン配信も盛んになっていますし、そういうものと組み合わせることで生まれる表現があるんじゃないかなと。例えば、Zoomと歌舞伎を組み合わせてみるとかはコロナ禍だからこそ生まれるアイデアだったと思うんです。そうやってオンラインとオフラインを掛け合わせてみるのもいいですし、まったく別の発想でもいいんですけど、ポップカルチャーという大きな枠組みのなかで、いろんなジャンルのものが交わってほしいなって。そういったこれまでにないジャンルが交わって生まれるものが、「渋谷らしさ」だと思うし、そういった取り組みがコロナが落ち着いたときに渋谷に足を運ぶ理由になるかもしれないので。

東京カルチャーカルチャー
東京カルチャーカルチャー

「『挑戦したいのにコロナのせいで挑戦できない』という人たちを応援したい」(五十嵐)

―最後に、公募からイベントを開催するまでの流れについても教えてください。

五十嵐:10月23日から公募をスタートして、11月中に採択者を発表します。それからイベントを開催する来年2月までは準備期間に入るので、東京カルチャーカルチャーのプロデューサー陣を交えてプロジェクトを詰めていきます。

今回は初年度ということもあり、自分たちが主催者として応募者にメリットを掲示しているのですが、それが応募者にとって本当にメリットなのかはまだわからないんですよね。だから、応募してくださった方々にいろいろヒアリングさせてもらって、今後の支援の仕方についても検討していきたいなと考えています。

星野:応募してくださる方々と一緒にこのプログラムを育てていければいいですよね。正直な話、我々としても新たな挑戦になるので、予測できないことがすごく多くて。こんな時期にわざわざイベントをやろうと考える人がいるのか? みたいな不安もあったりします。

五十嵐:それでも私たちがこのプログラムに取り組もうと考えているのは、「挑戦したいのにコロナのせいで挑戦できない」という人たちを応援したいからです。だからこそ、応募してくださる方々に「この人たち、頼りないな」と思われないように、私たちも勉強しながら少しずつ力を蓄えていければと考えています。

左から:五十嵐友莉花、星野ゆり

プログラム情報

『渋谷渦渦 ~あつまれ!SHIBUYAイベントチャレンジ~』
『渋谷渦渦 ~あつまれ!SHIBUYAイベントチャレンジ~』

ポップカルチャーをテーマに東京カルチャーカルチャーを会場としたリアル+オンラインのハイブリッド型開催イベントの企画公募プログラム。採択者は2021年2~3月の間で実際にイベントを開催できる。応募受付期間は10/23(金)~11/23(月・祝)まで。

プロフィール

星野ゆり(ほしの ゆり)

東急株式会社 沿線生活創造事業部 エンターテインメント戦略グループ 企画担当
2016年にグループ会社の東急メディア・コミュニケーションズに入社。東急エージェンシーへの出向でプロモーションに携わったのち、2018年より東急株式会社に出向。渋谷で開催されるイベントへの関与による渋谷のブランディングを実施し、現在に至る。好きなものは名探偵コナン。最近は「あつまれ どうぶつの森」に夢中だが、家にWi-Fiが通っていないので誰の島にも行けていない。

五十嵐友莉花(いがらし ゆりか)

東急株式会社 沿線生活創造事業部 エンターテインメント戦略グループ 企画担当 主事
2014年に東急電鉄(現 東急)に入社。渋谷ヒカリエの文化用途施設の運営を経験し、建物をより面白くするためのカルチャーづくりに尽力。2019年より現部署に異動し、東急の保有アセットを活用した興行や新規事業の検討を行う。POPSのデイリーランキングをチェックするのが日課。最近はテトリスにハマりe-sportsプレーヤーを目指し、日々トレーニング中。

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『CUFtURE』(カフチャ)は、au 5Gや渋谷未来デザインなどが主導する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」とCINRA.NETが連携しながら、未来価値を生み出そうとする「テクノロジー」と「カルチャー」の横断的なチャレンジを紹介し、未来志向な人々の思想・哲学から新たなヒントを見つけていくメディアです。そしてそれらのヒントが、私たちの日々の暮らしや、街のあり方にどのような変化をもたらしていくのか、リサーチを続けていきます。