婦人科領域に残るジェンダーギャップ。これからの「しかたなくない」のために
最後のテーマは「それぞれがこれから創りたい『新たな選択肢』」。これまで話されてきた内容を踏まえて、それぞれが思いを語った。
シオリーヌ:性教育にかんして言えば学校の指導要領にも課題がたくさんあって、自分の人生を自分でデザインするために必要な知識にたどり着きづらい状況があります。これを改善して、社会のなかで活用できる情報を得られるようにしたいですね。政治についても課題がたくさんあるのでロビー活動など、仕組み全体をみんなで考えるアクションを起こしたいです。
産後ケアはまだまだ選択肢が少なくて、産後の子育てを自分の力だけで頑張るしかない人が多いことを、自分もその立場になってみてあらためて実感しました。子育てを社会全体で支えることを当たり前にしていきたいです。
永野:マッチングアプリの運営側として、マッチングアプリとリアルの出会いの境界線をいかになくしていくかをつねに考えています。人と人同士がリスペクトしあうことや、コミュニケーション、同意については、アプリにもリアルにも関係があること。若い人じゃなくても、失敗したり人を傷つけたりすることがあって、永遠の課題だと思うんです。
だからプロバイダーとしてできることを広げていくべきだと思っています。自分の嫌なことや、相手の嫌なことを考えて伝えていくことと同時に「グレーゾーン」も大事で。絶対譲れないものはちょっとでよくて、好き嫌いや良い悪いだけじゃないグレーゾーンをいかに持てるかが精神の安定につながると思うんです。
石井:日本では医療の領域において、男女両方がかかる病気についてはジェンダーギャップが少ないと言われていますけど、婦人科領域についてはまだまだ課題があって。医療者の問題ではなくて、コミュニケーションの面でうまくいってない部分があると思うんです。ぼくたちは医療者と患者さんの間を取り持つプレイヤーとしてそこにもっと介入していきたいですし、医療と国民全体が近くなれる未来をつくっていきたいです。
能條:ライフステージが変わったり、人と出会ったりするなかでの気づきが、新しいプロジェクトの始まりや参加意識の芽生えにつながるので、アイデアをシェアすることで社会が加速度的に良くなっていくのではという希望を感じました。
トークセッション「それって本当にしかたない?」アーカイブ動画
「しかたなくない」を切り口として、4名それぞれが取り組んでいる領域や活動から得た知見をもとに、性や身体にまつわる事柄について、さまざまな意見やアイデアが交わされ、現状の課題点も見えてきた本セッション。
個人の意思や努力のみによって、暮らしのなかに立ちはだかる障壁や疎外感を乗り越えようとするのではなく、「しかたなくない」という思いを持った企業やチーム、個人が響き合うことが、「しかたない」こととして済まされる状況を生み出してきた構造や仕組みを変えてゆく一歩になるはずだ。
イベント情報
- SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2022
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日程:2022年11月8日(火)~11月13日(日)
入場料:無料
プロデューサー:金山淳吾(一般財団法人渋谷区観光協会代表理事) / 長田新子(一般社団法人渋谷未来デザイン理事・事務局長)
主催:一般社団法人渋谷未来デザイン
共催:渋谷区