ヘッドマウントディスプレイやゴーグルといったデバイスを使用することで、仮想現実の世界を体感できる技術、VR(バーチャル・リアリティ)。現実と見まがう臨場感がその特徴だ。
ただ、目元を覆うヘッドマウントディスプレイやゴーグルといったデバイスの特性上、体験を他人と共有することが難しい。エンターテインメントとして一人でプレイする分にはそれでも問題ないが、ビジネスとしてユーザーに提供する場合は大きな課題となる。この課題を解決する技術が、VRディスプレイ共有技術だ。
VR映像をVRデバイスと他端末とで共有する技術
VRディスプレイ共有技術は、ヘッドマウントディスプレイやゴーグルなどのVR端末と、パソコンなどの別端末の間で、VR端末の位置や向きといった情報を共有するという技術。その結果、VRを体験中のユーザーとそれ以外の人間が、同じ映像を共有できる。
この技術を使うことで、たとえば不動産業者ならば、VRで物件の内覧をしているユーザーと直接的なコミュニケーションが可能になる。ユーザーが内覧でどの部屋を見ているのか、部屋のどの部分を見ているのかを確認しながらコミュニケーションできるため、より的確な営業が行える。
あらためて考えてみると、かなり画期的だと言えるだろう。これまでリアルで内覧を行う際も、「顧客が何を見ているのか」までは把握できなかった。可能なのはせいぜい視線の誘導までだ。しかし、この技術を使うことで、顧客が見ているものに応じて、的確に営業を行うことができる。不動産業者以外でもこの技術が営業効率をアップさせる業界は多いだろう。
中国で特許取得
この画期的な技術は、ナーブ株式会社が2020年3月10日に中国で特許を取得している。さらに、同社は2019年11月13日時点で米国特許も取得している。