「5Gが当たり前になることで、私たちのライフスタイルは大きく変わっていくのだろうと思います」
―ここ10年、20年の渋谷は「個性が失われた」と言われることが多いと感じているのですが、今回のプロジェクトを通じて渋谷発のカルチャーを新たに作っていきたいという想いもあったりするのでしょうか?
長田:私個人としては、新しく何かを作っていくというより、渋谷にもともとあった文化を大事にしたいと考えています。例えば、「しぶちか」って日本最古の地下商店街なんですよね。そういうものが消えてしまうのは、もったいないじゃないですか。
―そうですね。
長田:とは言っても、人々の価値観は時代とともに変わってきているので、いつまでも昔のイメージだけで渋谷が考えられているのもどうなのかなとも思います。それに、今までのことを引きずる必要はないけど、まったく新しいものにしてしまうと追いつかない人も出てきてしまう。
だから、残したいものをアップデートしていくという意味合いの方が近いかもしれません。そのためにテクノロジーの力が必要であれば使えばいいし、そうでないものを利用するのでもいい。それで街自体がより良くなるのであれば。総論みたいな形で私が言うのも変なんですけど(笑)。
―そうすると、このプロジェクトをきっかけに渋谷に住んでいる人が5Gの恩恵を自然と受けられる状況になっていくことも想定しているわけですよね。
長田:なるといいですよね。それが具体的にどんな形になるかまではわからないですが。おそらくエンタメ軸から抜けると、一般的なサービスとして利用されるようになるんじゃないかなと考えています。渋谷区としては、それにいち早く取り組めたらいいなと思っています。それで地域住民の生活が豊かになれば、と。
あと3Gから4Gに変わったとき、世の中は絶対に変化していて。これだけスマホが必須なものになると思っていた人なんて当時はほとんどいなかったじゃないですか。それと同じことが5Gでも起こると思うんです。ただ、それが何かはまだわからないので、みんなでアイデアを出しあったら、今は誰も考えついていないものが生まれるんじゃないかっていう期待があります。私も前職でビジネス用のスマートフォンに関わっていたこともありますが、ここまで浸透するなんて予測してなかったです。
―実は気づかないうちに恩恵を受けていることってけっこうありますよね。スマホにしてもたまに3Gになるとすごく不便に感じますし。
長田:そうですよね。もう当たり前のようになっていますけど、4Gがなかったらストリーミングサービスをはじめ、多くのコンテンツを手軽に視聴もできなかったと思うんです。これって、モバイル網が発達したから自宅の固定だけでなくスマホでも見られるようになり、よりユーザーフレンドリーになった気がします。さらにSuicaやQRなどのスマホ決済とかも人々の生活に欠かせない存在になってきてますね。そういう意味では5Gが当たり前になることで、私たちのライフスタイルは大きく変わっていくのだろうと思います。
プロフィール
- 長田新子(おさだ しんこ)
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AT&T、ノキアにて情報通信及び企業システム・サービスの営業、マーケティング及び広報責任者を経て、2007年にレッドブル・ジャパン入社。最初の3年間をコミュニケーション統括、2010年から7年半をマーケティング本部長として、日本におけるエナジードリンクのカテゴリー確立及びレッドブルブランドと製品を日本市場で浸透させるべく従事し、9月末にて退社し独立。趣味はスポーツ観戦・音楽ライブ鑑賞、ゴルフ、海など。