5Gで変わる世界。アニメやゲームと現実はどう接近するか

5Gで変わる世界。アニメやゲームと現実はどう接近するか

2020/07/17
テキスト
本多恵
編集:山田規裕(CINRA.NET編集部)

5Gスタートで始まる、アニメの世界と現実との接近

次世代通信規格「5G」が、ついに今年2020年から本格的にサービス開始となった。とはいえ真っ先に注目を集めるのは自動運転やロボット、建設機械など産業での活用で、一般レベルでは「5G」という単語はまだまだ馴染みが薄いかもしれない。

しかしつい身近に「5G」について耳にするユニークな機会があった。4月11日にTBS系列で放送された『史上空前!!笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ2020』、人気芸人が一夜限りのコラボネタを披露する人気番組だ。その中で渡辺直美とハライチ・岩井勇気が「塩の魔人と醤油の魔人」というネタを披露してSNSで話題を集めたのだが、岩井はニューヨークに滞在していた渡辺直美とのネタ打ち合わせに苦心したという。いうまでもなくお笑いはテンポや間合いが命で、海外にいるとビデオ通話を使っても通信に遅延が起きてしまうからだ。「すぐ5Gになってほしい!」という岩井のコメントを聞いたとき、「5G」という単語がなぜかとても印象に残った。「私たちが身近に触れているエンターテイメントにも5Gが大きな影響をもたらすのではないか?」と強く感じたからだ。

そもそも5Gとは、これまで主流だった4Gに代わり、ネットワークでスマホなどをつなぐ新たな無線通信システム。その通信速度は4Gの10~100倍ともいわれており、2時間の映画を3秒でダウンロードすることができる。5Gの主な特徴は高速大容量・低遅延・多接続。膨大なデータを高速で通信でき、データの遅延がないためリアルタイム性が大幅に向上する。そのため自動車の自動運転やロボットの遠隔操作、遠隔医療などが飛躍的に発展する。さらにたくさんの端末に同時接続できるので家電などのIoT化の加速が期待されている。

5Gとエンタメを語るうえで欠かせないのが、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)の総称である「XR」の技術だ。5Gがもたらす大容量・低遅延の恩恵は、高画質な映像とさらなるリアルタイム性を実現してくれる。「XR」の実例として紹介したいのが、今年4月に実施が予定されていた『UNLIMITED REALITY - 渋谷複合現実化ミッション』。au 5GとNetflixがタッグを組み、新作アニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』の世界を実際に渋谷の街に出現させる夢のような企画だ。スクランブル交差点を一望できるビルの屋上でカメラつき高解像度ゴーグルを装着すると、実際の渋谷の街を舞台に主人公・草薙素子ら公安9課のメンバーがくり広げるバトルを臨場感たっぷりに楽しむことができる。「エンタメの未来」を先取りして体験できるコンテンツを目指した本プロジェクトで使用されるのは、MRの技術。ARで主体となる現実の渋谷に3Dのオブジェクトを重ね合わせる試みだ。渋谷の街全体という広域な複合現実を生み出す技術は、5Gだからこそ実現できる。そう、現実世界とアニメの世界の融合はすでに始まっているのだ。

『攻殻機動隊 SAC_2045』予告編

上述の『UNLIMITED REALITY - 渋谷複合現実化ミッション』は新型コロナウイルスの影響により自宅で楽しめる360°VR動画としての提供にとどまったものの、5Gによってアニメやゲームの世界が実現できる可能性を強く感じさせてくれた。ならばこの他にも5Gを活用して、アニメやゲームのワンシーンをより現実に近い形で体験することはできないだろうか? 本記事では5Gの技術を使って実現させたい、いくつかの「夢」について考察してみたい。

UNLIMITED REALITY - 渋谷複合現実化ミッション 360°VR動画

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『CUFtURE』(カフチャ)は、au 5Gや渋谷未来デザインなどが主導する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」とCINRA.NETが連携しながら、未来価値を生み出そうとする「テクノロジー」と「カルチャー」の横断的なチャレンジを紹介し、未来志向な人々の思想・哲学から新たなヒントを見つけていくメディアです。そしてそれらのヒントが、私たちの日々の暮らしや、街のあり方にどのような変化をもたらしていくのか、リサーチを続けていきます。