5Gで楽しみ方も変容する、アニメとゲームの世界
ここまで、5Gによって現実にできるかもしれないアニメやゲームの世界の可能性について考察してきたが、もちろんコンテンツそのものの楽しみ方も劇的に変化していくに違いない。5Gによって高精細な映像が遅延なく視聴できるようになることで、XR技術を用いた参加型のエンターテイメントもどんどん発展していくだろう。いまでは当たり前になった、ライブや舞台のライブビューイングだが、これからは家にいながら現場の空気そのままに楽しむことができるかもしれない。これまでの中継では当然ながらカメラアングルが固定されていたが、マルチに配置されたカメラの中から好きなアングルを選んで楽しむ、なんてことも可能になる日が来そうだ。ライブや観劇の際に誰しもが持つであろう「視点が2つ、なんなら3つ4つ欲しい!」という願望も、5Gの多接続環境があれば、「推し」だけを見る画面と全体を見る画面を同時に表示するなど自在に選ぶことができる。「あのシーンをもう1度……」とリアルタイムで巻き戻すといったことも可能になるはずだ。
アニメはどうだろう。2017年から2019年にかけて生放送アニメ『直感×アルゴリズム♪』というCGアニメが配信された。この作品はモーションキャプチャーとリアルタイムCG技術を用いることで、キャラクターを演じている声優の動きをリアルタイムに反映。視聴者の反応によって放送中に物語が変化する、視聴者参加型の新しいアニメの可能性を示していた。ライブや演劇だけでなく、アニメも生で放送する時代がやってくるかもしれない。
『直感×アルゴリズム♪ 』予告動画
一方ゲーム業界でも、5Gによるクラウドゲームへの追い風が吹き始めている。これまでゲームは専用のゲーム機やスマホなど固定のハードに紐づくのが一般的だったが、5Gによって高速で安定した通信が実現すれば、どんなハードでも好きなゲームをストリーミングで自在にプレイする時代が到来するだろう。これまでにGoogleが2019年に発表した「Stadia」や、SONY「PlayStation Now」などクラウドゲームサービスが誕生するも、動作遅延といったネットワークの課題に悩まされてきた。5Gがその解決の突破口となるかもしれない。2019年「Stadia」はクラウドゲームの普及に向けて、ゲームの実況中継配信の視聴者を取り込むべく、YouTubeとの連携を果たした。1つのサーバーに大勢のプレイヤーが参戦しても遅延なくプレイできる環境が整えば、リアルタイムに同じ感動を共有する新しいゲーム体験が味わえるだろう。
1970年代後半に初めて1G(第1世代)の携帯電話が生まれてからこれまで、想像もしなかった変化が私たちの生活に起きた。そして5G時代を迎えようとしているいま、子どもたちはウルトラマンと怪獣のバトルに自ら参戦できるかもしれないし、戦隊ヒーローの変身グッズや魔法少女のステッキにはもう「実際には変身できません」という注釈をつける必要もなくなるかもしれない。あなたも5Gのニュースをキャッチアップして、胸躍る体験に飛びこむためのウォームアップを始めてみてはいかがだろうか。