東急×パルコ対談 再開発やコロナ後、次世代の渋谷を考える

東急×パルコ対談 再開発やコロナ後、次世代の渋谷を考える

インタビュー・テキスト
村上広大
撮影:前田立 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
Jul.1 2020

東京オリンピックの延期による、街への影響とは? 渋谷は日本一マジョリティの概念がない

―新型コロナウイルスの余波でオリンピックの延期が決定しましたよね。特に渋谷の再開発はオリンピックを視野に入れて取り組まれていた部分もあったと思うのですが、その影響についてはどのように考えているのでしょうか?

柏本:オリンピックの延期によって営業方針が変わるわけではないですが、世界に向けて渋谷PARCOの存在を印象付けたいと考えていたので、それが実現できなくなったのはただ残念です。

寄本:言葉にできない部分はありますよね……。2021年に向けて動いている企画もたくさんあるわけですし。そういう意味では、これまで予定していた方法ではない可能性を模索しないといけないのかなと思います。

浜本:そもそも渋谷は新宿に比べると泊まる場所が少ない、観光地としてお金を落とす場所が少ないといった課題がありました。これから渋谷がニューヨークやロンドンなどの都市と並ぶ世界的な都市になっていくためには、アピールするポイントをいかに作っていくかが重要です。

―特に最近は都市がどんどん画一化して個性が失われていると言われることも多いですが、「世界の渋谷」というワードは未来を描いていくうえで重要な鍵になりそうですよね。

手塚:リオ・オリンピックの閉会式に出てくる東京の映像って、渋谷が中心だったじゃないですか。

寄本:たしかに。

手塚:海外からも東京=渋谷というイメージは強いと思うんですよ。そのなかで個性を強化しないといけない。

柏本:渋谷のなかでジャパンカルチャーを作っていくことが大切なのかなと思うんですね。渋谷PARCOには「ポケモンセンターシブヤ」や「Nintendo TOKYO」といった世界的に人気のコンテンツをテーマにしたショップや、ジャパンモードとして支持されているファッションブランド、さらにはスナックなどもあります。そういうカルチャーをグレードアップさせながら、しっかりと根付かせて海外の人に提供できる中心的な都市にしたいですよね。

寄本:異質なものが混ざり合っている意外性の都市というか、予想通りじゃない魅力が世界に伝わっていけばいいのかなと思います。人によって興味の中心はそれぞれ別だと思うんですけど、目的の場所にたどり着くまでにいろんな価値に出会えるというか。

浜本:渋谷という場所は歴史を辿ると江戸の際にあって、関所を通れない人たちが集まっていたらしいんです。そういう意味では、元来多様性を受け入れる土壌があり、それが脈々と受け継がれているんだなと思います。

先ほど柏本さんがおっしゃっていたマスとかマジョリティの話だと、渋谷はすでに日本で一番マジョリティの概念がない気がして。人によって街の捉え方が全然違うと思うんですね。事実、渋谷って平日と休日の人の数がほとんど変わらないんですよ。だから、引き続きマジョリティがない街であるとともに、トライ&エラーができる街としても在り続けてくれたら嬉しいなと思います。

プロフィール

寄本健(よりもと けん)

東急株式会社 沿線生活創造事業部 エンターテインメント戦略グループ所属。1974年長野県諏訪市生まれ。早稲田大学理工学部機械工学科、同大学院機械工学専攻出身。1999年東京急行電鉄株式会社(現、東急株式会社)に入社。ホテル事業、エリア戦略策定、学童保育事業、東横線副都心線相互直通プロジェクトに携わったのち、株式会社東急文化村に出向。複合文化施設Bunkamuraにて文化を事業する実務に携わった経験をベースに、'18年より渋谷再開発における主にソフト面、'19年よりエンターテインメント事業を担当、現職。

浜本理恵(はまもと りえ)

東急株式会社 ビル運営事業部 渋谷運営グループ 兼 渋谷開発事業部所属。1987年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学政治経済学部出身。2010年東京急行電鉄株式会社(現、東急株式会社)に入社。ICT事業、ケーブルテレビ事業、電力・ガスの小売事業の立ち上げに携わった後、'18年より渋谷再開発の情報発信、PR業務を担当。'13年には東横線渋谷駅跡地をイベント等で暫定活用する「ekiato」プロジェクトを担当。'20年より渋谷ヒカリエ等の文化用途およびマーケティングを担当、現職。

柏本高志(かしもと たかし)

株式会社パルコ執行役員渋谷パルコ店長。1963年、東京生まれ。早稲田大学教育学部出身。津田沼パルコ、名古屋パルコ、渋谷パルコの店長を務め、2015年執行役渋谷パルコ店店長に就任。2016年9月より渋谷プロジェクト(渋谷パルコ建替えプロジェクト)、渋谷店準備室の担当執行役を経て、2019年9月より執行役渋谷パルコ店店長を務める。2020年5月より同職。

手塚千尋(てづか ちひろ)

株式会社パルコ 渋谷店 営業課 課長。京都大学農学部出身。2006年株式会社パルコ入社。2014年コラボレーションカフェ『THE GUEST cafe&diner』事業を立ち上げ、「キキ&ララ カフェ」など連日大行列のカフェをプロデュースしコラボカフェブームの火付け役となる。2016年より渋谷パルコ準備室にて渋谷パルコリニューアルのリーシング、プロモーションを担当。新生渋谷パルコ内にファッション×アートスタジオ『2G』を立ち上げる。

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『CUFtURE』(カフチャ)は、au 5Gや渋谷未来デザインなどが主導する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」とCINRA.NETが連携しながら、未来価値を生み出そうとする「テクノロジー」と「カルチャー」の横断的なチャレンジを紹介し、未来志向な人々の思想・哲学から新たなヒントを見つけていくメディアです。そしてそれらのヒントが、私たちの日々の暮らしや、街のあり方にどのような変化をもたらしていくのか、リサーチを続けていきます。