アメリカで今年4月に公開された3Dアニメーション映画『トロールズ ミュージック☆パワー』は、未来の映画公開の仕組みに大きな一石を投じることになるかもしれない。
新型コロナウイルスの影響で映画館が休館を余儀なくされているなか、予定していた公開日が延期となる新作映画は多い。しかし、『トロールズ ミュージック☆パワー』の配給元であるユニバーサル・ピクチャーズは予定していた4月10日の公開日を延期するのではなく、新作映画でありながらVODで配信を行った。そしてその判断は大成功だったといえる。
この作品は2016年の映画『トロールズ』の続編で、前作は通常通り劇場公開されている。続編の収益は公開から3週間で北米地域だけで1億ドル(約107億円)を稼いでおり、これは劇場公開された前作の初動3週間の1億1,600万ドル(約124億円)には及ばないが、十分な収益をもたらす成績だ。
そのためユニバーサル・ピクチャーズのジェフ・シェルCEOは、「我々の予想を遥かに上回る結果をもたらした。これはVODの可能性を大きく示唆している。今後劇場が再開したら、我々は劇場とVODの両方での公開を視野に入れていくだろう」とコメント。
しかしこれに対して、大手映画館チェーン、AMCシアターズのアダム・アーロンCEOは大きく反発。「今後ユニバーサル・ピクチャーズの作品をAMCでは公開しない」とユニバーサルに厳しい手紙を送ったそうだ。新型コロナウイルスは、映画業界の今後の仕組みも大きく揺るがそうとしている。