NITROが渋谷の思い出を回想「無駄な時間から文化が生まれる」

NITROが渋谷の思い出を回想「無駄な時間から文化が生まれる」

2020/11/10
インタビュー・テキスト
宮崎敬太
撮影:天田輔 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

世界の各地同様、渋谷区も新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛により大きな打撃を受けた。渋谷区には約23万人が暮らしていて、平時に街に来る人は1日約300万人。それが自粛期間中に、限りなくゼロに近くなった。街でエンタメ、ファッション、飲食、理美容を生業にしていた人たちが大きな打撃を受けたのは言うまでもない。「YOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディング」はそんな人たちを支えるためのものだ。

今回はファンドのリターンとして無観客配信ライブを行ったNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDから、XBS、SUIKEN、DABO、BIGZAMの4人に、コロナ後の社会とエンタメ、そして渋谷の魅力、さらに今後渋谷がどんな街になってほしいかを語ってもらった。

YOU MAKE SHIBUYA連載企画「渋谷のこれまでとこれから」

新型コロナウイルスの影響で激動する2020年の視点から、「渋谷のこれまでとこれから」を考え、ドキュメントする連載企画。YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディングとCINRA.NETが、様々な立場や視点をお持ちの方々に取材を行い、改めて渋谷の魅力や価値を語っていただくと共に、コロナ以降の渋谷について考え、その想いを発信していきます。

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND(にとろまいくろふぉんあんだーぐらうんど)<br>BIGZAM、DABO、DELI、GORE-TEX、MACKA-CHIN、SUIKEN、XBSの7名から成るヒップホップグループ。2000年に1stアルバム『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』をリリースし、大きく話題を集める。2012年に一時、活動休止。デビュー20周年にあたる2019年に活動を再開。最新シングルは、7月31日にリリースされた『ナンカナイノカヨ』。
NITRO MICROPHONE UNDERGROUND(にとろまいくろふぉんあんだーぐらうんど)
BIGZAM、DABO、DELI、GORE-TEX、MACKA-CHIN、SUIKEN、XBSの7名から成るヒップホップグループ。2000年に1stアルバム『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』をリリースし、大きく話題を集める。2012年に一時、活動休止。デビュー20周年にあたる2019年に活動を再開。最新シングルは、7月31日にリリースされた『ナンカナイノカヨ』。

ヒップホップに浸れる街だった、90年代渋谷を回想

―NITRO MICROPHONE UNDERGROUND(以降、「ニトロ」)と言えば、かつて世界一のレコード屋街と言われた宇田川町と密接に結びついてるイメージがあります。みなさんは当時の渋谷にどんな思い出がありますか?

SUIKEN:最初はショッピング、映画、デートみたいな遊びに行く場所だったけど、友達が洋服屋で働くようになってからちょっと街との繋がりが深くなったんです。そのうち渋谷でバイトするようになって、そこからどんどん滞在時間が長くなりました。そうこうしてるうちにスタジオに行けるようになって、ラッパーとしてのキャリアが始まった感じですね。

SUIKEN(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)
SUIKEN(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)

XBS:うん。僕らはニトロとしてデビューする前、1990年代の半ばくらいからずっと渋谷にいました。当時は今よりももうちょっと奥のほうまで若者で賑わってたイメージがあります。宇田川町にはレコード屋さんがいっぱいあったしね。

DABO:改めて思い出してみると、ヒップホップに浸れる街だったんですよ。

BIGZAM:自分たちの先輩であるレジェンドたちが、現在につながるストリートカルチャーを作ってくれたんですよ。俺らはその土台の上で遊んでたんです。

―昔の渋谷はすごく怖かったイメージがあります。でも同時に若者が現在進行形で文化を作ってるワクワク感もありました。だから怖くても行ってみたいというか。

XBS:僕らのちょい上の先輩たちがいた頃のセンター街は怖かったですよね。近づかなかったですもん。

DABO:チーマーカルチャーが落ち着き始めて、それと逆行する形でヒップホップカルチャーが盛り上がってきたイメージがあるな。

DABO(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)
DABO(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)

XBS:エンジニアブーツやウェスタンブーツがスニーカーに変わり、ベルポトムのジーンズがバギーパンツになった、みたいな。

SUIKEN:あとセンター街には単純に行きたい店がなかったのも一因ですね。いつも明治通りをウィンドウショッピングしながらブラブラして、夜になると宇田川町に行って井の頭線に乗って家に帰るみたいなコースだったな。俺らにとってのセンター街といえば、ゲームセンターじゃない?

XBS:友達が働いてたからよくみんなで行ってたんですよ。あの頃は全然お金がなかったから、みんなでご飯を食べに行くみたいなノリじゃなくて、いかに金を使わずに遊ぶかを考えてたね。

XBS(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)
XBS(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)

SUIKEN:レコ屋行っても、俺は金がないからハジメ(DJ HAZIME)がレコードを買うのを横で見てたよ(笑)。

―ニトロがお金なかった時期ってなさそうなイメージがあります。

BIGZAM:そんなことないですよ。デビュー前は全然お金なかった。

SUIKEN:うん。本当に普通の若者だった。

XBS:バイトして、学校行って、遊んで、みたいなライフスタイルで、僕は大学にも通ってたので寝る時間が全然なかった。ちょっと柔らかい椅子があるとすぐ寝ちゃってたし(笑)。

BIGZAM:HARLEM(渋谷のクラブ)でも寝てましたよね(笑)。

BIGZAM(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)
BIGZAM(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)

XBS:僕、GORE-TEX、MACKA-CHINはいつもバイクで足立区の方から遠征してきてたんですよ。ニケツしてみんなで携帯買いに行ったよね。モトローラの「スタータック」(機種名)。でもアナログ電波でむっちゃくちゃ音が悪いから通話すら聞き取れないっていう(笑)。

SUIKEN:俺らは金なかったからギリギリまでポケベルだったよね。

XBS:ポケベルもモトローラでね。みんな、カスタマイズしてたんですよ。MUROさんがいるSTILL DIGGIN’というお店に改造キットが売っていて。そういう気軽に立ち寄れるお店が昔はいっぱいあったんです。レコード屋だったらMACKA-CHINが働いてた原宿のFAT BEATS、渋谷のManhattan RecordsやCISCO、洋服だったらSTILL DIGGIN'やSAVAGE、GROW AROUND……。

BIGZAM:自分はGROW AROUNDの店長でした。

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』を聴く(Apple Musicはこちら

サービス情報

『YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング』
『YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング』

23万人の渋谷区民と日々訪れる300万人もの人たちが支えてきた渋谷の経済は“自粛”で大きなダメージを受けました。ウィズコロナ時代にも渋谷のカルチャーをつなぎとめるため、エンタメ・ファッション・飲食・理美容業界を支援するプロジェクトです。

リリース情報

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND
『ナンカナイノカヨ』

2020年7月31日(金)配信
レーベル:acehigh records

プロフィール

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND(にとろまいくろふぉんあんだーぐらうんど)

BIGZAM、DABO、DELI、GORE-TEX、MACKA-CHIN、SUIKEN、XBSの7名から成るヒップホップグループ。2000年に1stアルバム『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』をリリースし、大きく話題を集める。2012年に一時、活動休止。デビュー20周年にあたる2019年に活動を再開。最新シングルは、7月31日にリリースされた『ナンカナイノカヨ』。

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『CUFtURE』(カフチャ)は、au 5Gや渋谷未来デザインなどが主導する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」とCINRA.NETが連携しながら、未来価値を生み出そうとする「テクノロジー」と「カルチャー」の横断的なチャレンジを紹介し、未来志向な人々の思想・哲学から新たなヒントを見つけていくメディアです。そしてそれらのヒントが、私たちの日々の暮らしや、街のあり方にどのような変化をもたらしていくのか、リサーチを続けていきます。