NITROが渋谷の思い出を回想「無駄な時間から文化が生まれる」

NITROが渋谷の思い出を回想「無駄な時間から文化が生まれる」

2020/11/10
インタビュー・テキスト
宮崎敬太
撮影:天田輔 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

渋谷にもっと無駄な時間を過ごす踊り場を。カルチャーはそこから生まれる

―みなさんが出演した『SUPER DOMMUNE tuned by au 5G』のライブイベントは、「YOU MAKE SHIBUYA」というクラウドファンディングのリターンとして実施されました。このファンドのテーマでもありますが、みなさんはこれからの渋谷をどんな街にしていきたいですか?

SUIKEN:俺らは基本的に勝手にやってるだけだから。「なんかしてくれよ」ってより、そっちこそ「ナンカナイノカヨ」って感じ。だってみんな普通にこの現代を生きてれば感じることがあるじゃん。俺はそこに意味があると思うんだよ。仮に行動しなくても、考えるだけでもそれが生活や行動に反映されて、ちょっとずつなにかが変わるはずなんだよ。

SUIKEN
NITRO MICROPHONE UNDERGROUND“ナンカナイノカヨ”を聴く(Apple Musicはこちら

DABO:俺たちは、企業や行政が望むような「やっぱ渋谷って素敵な街よね」っていう感覚を与えるための、キレイなアートは作るつもりはないよ。もっとリアルな一般人の声として自分の曲を聴いてほしい。きっと耳痛くなるようなことばっかだと思うけど。

DABO

XBS:それに今の若い子は僕たちが若い頃に行ってたフィジカルなコミュニケーションをSNS上でやってるでしょ? そもそも街に来なくても出会いが生まれる流れになってる。そこに街が介入したいのであれば、俺らが若い頃にたむろしてた、階段の踊り場みたいな場所があればいいなとは思いますね。個人的なことで言えば、ちゃんとしたバスケットコートとかがもっとあったほうがいい。

SUIKEN:そういうことだよね。街を綺麗にして、たむろしてる若者を排除したらカルチャーは絶対に生まれない。もしもこの渋谷でなにかを芽吹かせたいなら、自由に音を出せて、スケボーもダンスもできる場所を作ることが大切じゃない?

BIGZAM:今の渋谷は、きれいな観光地になっていってる気がするよ。

BIGZAM

DABO:まるで無菌室だよ。これを言っちゃうと身も蓋もないけど、大人たちによるあらゆるお膳立てがいらないと思う。準備されればされるほど、若者たちはしらけるだけというか。ただ再開発しただけじゃあ難しくて。かつてあった渋谷の活気は、汚くてなにもない階段の踊り場でくっちゃべってる中から生まれたんだよね。若者はいつも、自分たちは自分たちのやり方で好きに楽しんでるんだから「ほっといてくれ」と感じてると思うよ。文化を作りたいなら、それを街が許容することが必要なんだと思う。

XBS:リーガルウォール的な考え方を街に適応するというか。無駄な時間こそカルチャーのキモだと思う。どんどん開発してきれいにすることじゃなく、若者が自由に遊べる場所を担保することなんじゃないかな。俺らにとってのレコ屋や服屋、そしてゲーセンのような場所をさ。

XBS

サービス情報

『YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング』
『YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング』

23万人の渋谷区民と日々訪れる300万人もの人たちが支えてきた渋谷の経済は“自粛”で大きなダメージを受けました。ウィズコロナ時代にも渋谷のカルチャーをつなぎとめるため、エンタメ・ファッション・飲食・理美容業界を支援するプロジェクトです。

リリース情報

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND
『ナンカナイノカヨ』

2020年7月31日(金)配信
レーベル:acehigh records

プロフィール

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND(にとろまいくろふぉんあんだーぐらうんど)

BIGZAM、DABO、DELI、GORE-TEX、MACKA-CHIN、SUIKEN、XBSの7名から成るヒップホップグループ。2000年に1stアルバム『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』をリリースし、大きく話題を集める。2012年に一時、活動休止。デビュー20周年にあたる2019年に活動を再開。最新シングルは、7月31日にリリースされた『ナンカナイノカヨ』。

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『CUFtURE』(カフチャ)は、au 5Gや渋谷未来デザインなどが主導する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」とCINRA.NETが連携しながら、未来価値を生み出そうとする「テクノロジー」と「カルチャー」の横断的なチャレンジを紹介し、未来志向な人々の思想・哲学から新たなヒントを見つけていくメディアです。そしてそれらのヒントが、私たちの日々の暮らしや、街のあり方にどのような変化をもたらしていくのか、リサーチを続けていきます。