今は文化を作り直すチャンス。小宮山雄飛が語る地元民目線の渋谷

今は文化を作り直すチャンス。小宮山雄飛が語る地元民目線の渋谷

2020/09/02
インタビュー・テキスト・編集
タナカヒロシ
撮影:天田輔

いい意味で生まれ変わるチャンス。渋谷も原宿も、ちょっとインバウンドに寄りすぎていたと思う。

―いろいろと街も変化していますけど、そのなかでも変わらない渋谷区の魅力は、どういうところだと感じていますか?

小宮山:住んでいる人、遊びに来る人、働きに来る人のバランスが絶妙なんですよね。よくニュースなんかでシャッター街になっちゃった街とか、昔は栄えていたけど過疎化してしまった街とかを見ますけど、渋谷区は絶妙なバランスをずっと保っていると思うんです。お店の入れ替わりはありますけど、バランス自体は変わらないから、生活しやすいんですよね。

―渋谷区内でお気に入りのスポットはありますか?

小宮山:ありすぎて選べないですけど、ちょっと意外なところで言うと、表参道のApple Storeはどうでしょう? 豆知識も含めて言うと、表参道店は渋谷区と港区にまたがって建っているんですよ。僕が子どもの頃はマクドナルドだったんですけど、あのあたりは区の境目ということもあってか、面白い文化が生まれやすいのかなと思っているんです。

実は、僕がホフディランでデビューしたときに所属していたアロハ・プロダクションズの事務所も、そのApple Storeの裏にあったんです。アロハ・プロダクションズはそこで立ち上がって、UAとかもいてすごい盛り上がって、そこから何度か移転したんですけど、全部表参道沿いだったんです。僕はそんなにスピリチュアルなタイプではないですけど、「気の流れ」みたいなものがある気がするんですよね。いま、その境目に世界一の企業と言われているAppleのお店があることは、偶然じゃないのかなと感じます。

―その表参道も、コロナの影響を受けている感じはありますか?

小宮山:ものすごく感じますね。とにかく人がいなくなってしまったので。でも、いい意味で生まれ変わるチャンスじゃないかという気がするんです。渋谷も原宿も、ちょっとインバウンドに寄りすぎていたと思うんですよね。

―確かにコロナ前の表参道は、日本人より外国人のほうが多いんじゃないかと感じていました。

小宮山:海外の方が来てくれることはもちろんうれしいんですけど、お店も完全にインバウンド向けになっていましたからね。でも、コロナの影響で、そこには依存できなくなったじゃないですか。これを機に住んでいる人はもちろん、遊びに来ている人も、働いている人も、もう一度自分たちの文化、自分たちの商売をみんなで作り直せたらいいなと思うんです。

―表参道や原宿あたりは、まだ個人経営の小さな店も残っているんですか?

小宮山:大通りは少ないかもしれないですけど、少し裏に行けば小さな八百屋さんとかもありますよ。あと、ウラハラ(裏原宿)あたりの洋服屋さんなんかも、もともとはデザイナーとかが小さな店を始めて、それが当たったらブランドで展開して、ある種の実験場みたいな形でやることも多かったんです。いまでも裏に行くと、そういう個人のお店はけっこうありますね。

―いまはインバウンド向けじゃない、新しい店を始めるチャンスなのかもしれないですね。

小宮山:そうですね。飲食店だと、既にそういうのが生まれてきてますし。いわゆるオクシブ(奥渋谷)と呼ばれている富ヶ谷あたりは、個人で始めて、じわじわ盛り上がっている店が出てきていて、ここ何年かは注目されているエリアになっていますね。

小宮山雄飛

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『YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング』
『YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング』

23万人の渋谷区民と日々訪れる300万人もの人たちが支えてきた渋谷の経済は“自粛”で大きなダメージを受けました。ウィズコロナ時代にも渋谷のカルチャーをつなぎとめるため、エンタメ・ファッション・飲食・理美容業界を支援するプロジェクトです。

プロフィール

小宮山雄飛(こみやま ゆうひ)

1973年8月14日生まれ、東京都渋谷区出身。ホフディランのボーカル&キーボーディストとして、1996年にシングル『スマイル』でデビュー。ザ・ユウヒーズ、BANK$名義でも作品を発表する。豊富な知識を活かして各種媒体への出演や寄稿などでも活躍し、カレーのレシピ本を出版するなど食に対する造詣も深い。2015年より渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダーも務める。

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